新しいスコッチウイスキー入りました。
というか、再販の案内あり、美味しかったので、もう一回入れました。
ハンターレイン社のOMCシリーズから、タリスカーの7年、シェリーバットフィニッシュのカスクストレングス、56°です。
オフィシャルのタリスカーはスパイシーさが特長ですが、ボトラーズものは若干のスモーキーと、しょっぱさを感じるものが多いように思います。
このボトルもかなりしょっぱく、かつシェリーの甘みが合わさった、あまじょっぱい味わいです。
あまじょっぱい、と云えば、ジャズのスタンダード曲に位置付けられる『朝日の如くさわやかに』です。正確に言うと、それにまつわるお客様の物語です。
同曲、スタンダードとされるくらいですから、当たり前ですが、いろんなミュージシャンに取り上げられています。ピアノでは、ウィントン・ケリーやソニー・クラークに名演ありますね。サックスではロリンズのビレッジバンガードでのライブも。しかし、サックスでビレッジバンガードといえば、コルトレーンのこのソプラノでのプレーに尽きますね。
マッコイのビアノから入って、エルビンの太鼓もピシッピシッ、徐々に盛り上がってきて、そして来ましたー、ようやく来ました、コルトレーンのソプラノ。ピーヒャラ、ピラリラ、、、格好いい、最高っす。
この構成、40年代にテナーサックスの父、コールマン・ホーキンスが録音した『ザ マン アイ ラブ』に似てますね。本来バラードの曲をアップテンポにして、ピアノとベースでガツンガツンと演って、トリをテナーのソロでシメる。(この時、この名演録音中に、掃除のおじさんがスタジオに入りかけて、危うくパーになるとこだったらしいです。録り直せばって言っても、一瞬一瞬がジャズですからね。また、最高のものが演れるという保証はありませぬ)
あれ? あまじょっぱい話でしたよね? 構成真似たのがしょっぱいんでしたっけ? って、僕が問いかけてどうすんの。
と、そうでした、お客様の物語でした。
ここまで、長くなりましたので、かい摘まんで。
そのお客様が、はるかウン十年前に、奥さまにプロポーズされたときのこと、ホテルのラウンジかどっかだったらしいのですが、一世一代のこの瞬間、BGMに流れていたのが『朝日の如くさわやかに』だったそうです。誰の演奏かは分からないそうですが(ホテルラウンジだったらコルトレーンではないですね。プロポーズどころか、一般的会話も出来なさそうです)。
甘い想い出、、、当店にご来店の際、例えばMJQが演奏する同曲を聴きながら、「これは昔、うちの女房にプロポーズしたときに、、、」と、いつものごとく話が始まる訳ですね。
追憶、、、そう、その遠い眼差しは、まさしく映画『追憶』のロバート・レッドフォードの如し。
しかし、歳月、時の流れとは恐ろしいものです。その甘い想い出も、徐々に徐々に風雨にさらされ、しょっぱく、あまじょっぱくなっていくのです。
まさに、このタリスカーをはじめとする、島や海岸沿いの蒸留所のモルトウイスキーのように。
フェリーニの映画に『甘い生活』というのがありましたが、甘いだけの人生なんて、、、しょっぱさが加わってこそ、本当の旨みとなるのです。
これをウイスキーでは、熟成と呼ぶのです。
あれ? こんな締めでいいのかな?