店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

12日は休み13日営業します

「ちょいとお前さん、こんな風の強いときに、どこ行こうってんだい?」
「えっ? 今日は土曜だろ? 店に決まってんじゃねーか」
「ちょいとちょいとお前さん、夜には台風来るってんだよ。客なんか誰も来るわけないじゃないか。馬鹿だねー」
「なんだと、このヤロー。亭主に向かって馬鹿だとー、ひっぱたくぞ。店ってななー、開けとくとこが、でーじなんだ」

「台風で誰も来ないと分かっててもかい?」
「、、、」
「だからさー、こうおしよ。今日は店閉めて、明日の日曜に開ければいいじゃないか。明日の昼過ぎにゃ、台風もいっちまうらしいし」
「でも、おめーよー、急に日曜開けるったって、どうやってお客に知らせんだよ。この時代にゃ、網(ネット)なんて便利なものはねーんだからな」

「あっ、お前さん、狼煙(のろし)なんてなどうだい?」
「おー、そりゃいいなー。台風もいってしまやー、穏やかんなって、江戸中が俺ん店の狼煙に気付くって寸法だ」

~日曜夜遅く~

ガラガラガラー
「お前さん、お帰りー。店はどうだったい? お客来たかい?」
「狼煙を火事と間違えた、火消しのヤローがな」