ドラマの無い人生なんて、、、平々凡々と日々暮らしていくなかで、ふとそんな想いに囚われることはありませんかね。
でも、それが悲劇の場合、本人は悲劇のヒーローを気取れるけど、それに巻き込まれる周りの人は大変だよね。
と、本日は、ヒューマントラストシネマ有楽町で、オランダ映画『マイフーリッシュハート』です。
50年代、アメリカ西海岸のジャズシーンで活躍した白人トランペッター、チェット・ベイカーの死の間際の物語です。80年代後半に、当時の活動拠点だったアムステルダムのホテルから謎の転落死。享年59歳。
映画はそこからスタートし、その謎を追いかける刑事の聞き込みとともに、チェット・ベイカーのその直前の暮らしぶりを明らかにしていきます。
ほんと、クズですね。薬は打ちまくるは、女には手を挙げるは。
しかし、弱々しい。
いい音楽を奏でたい、でも、クスリがないと出来ないんですね。
ストーリーはほぼ創作らしいですが、実際もジャンキーだったことは広く知られている事実です。
甘いトランペットに、甘い声(ボーカルもやってまして、やわなジャズファンには、この歌の方が有名なんです)。しかも、甘いマスク。
しかし、クスリとは恐ろしいものです。あっというまにシワだらけ。ボロボロ。ヤクの売人から、前歯折られて入れ歯になってしまったのも、風貌を一変させてしまいました。
実際、着てるものも酷かったため、自分が出演するコンサート会場に、警備員が浮浪者と間違えて入れてくれなかったってエピソードもあるくらいです。
一世を風靡した美男子の哀れな晩年。
オランダ人の監督よ、よくこんな悲惨な映画創ったね。
『マイフーリッシュハート』、愚かなりし我が心、、、ビル・エバンスのビレッジヴァンガードのやつ有名ですが、ホレス・パーランとかハンプトン・ホーズのやつも心にしみますね。
(藤山)