店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

オーソン・ウェルズの『オセロ』

先々週投稿した通り、シネマヴェーラ渋谷では、オリヴィア・デ・ハヴィランドとジョーン・フォンテーンの姉妹特集やってるんですが、なぜなの? というより、上映ありがとう、と感謝で一杯、オーソン・ウェルズが監督・主演の『オセロ』(52) を観賞です。

オーソン・ウェルズのシェイクスピアものは以前、国立近代フィルムセンター(現・国立映画アーカイヴ)で『フォルスタッフ』(65、『ヘンリー四世』の中の主要人物の一人)を観てるんですが、これが凄く良かったんですよ。
他のも観てみたいなー、と思いつつ月日は流れ、はからずも、オーソン・ウェルズのオーの字も思い付かない、今特集で観れるとは。

ストーリー知らない人や、完璧な脚本を要求する観客どもは、なんでイアーゴーはこんなにオセロを陥れたいんだろ? その説明が不十分だ、みたいなことをホザキそうですが、そんなの知ったこっちゃねーんだよ。そう決ってんだよ。シェイクスピアの墓に向かって聞いてくれ。

観ているうちにね、そんなことはどうでもよくなるよ。演劇では味わえない、映画ならではの、黒と白の圧倒的な映像美。もうね、お腹一杯。和光の、いや和幸のロースカツ(今日は新橋亭ではありませぬ)を戻しそうになりました。オーソン・ウェルズの演技よ、デスディモーナの美しさよ、、、

そして、エンドロール。やっぱりというかなんと言うか、一番最初にイアーゴが。『ヴェニスの商人』のシャイロックなんかもそうだけど、この手のものって、この嫌らしい役をいかに演じるか、そして、観客から、コイツをグチャグチャにしてやりてー、そう思われたとき、演者はしてやったり、役者冥利に尽きるのでしょうな。