店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

チベット映画特集から『巡礼の約束』

改装も終り再開した岩波ホール。久しぶりの訪問です。「映画で見る現代チベット」と題したチベット映画特集をやっており、七本を三週間にわたり上映、本日は『巡礼の約束』(2018) を鑑賞です。

多分治る見込みの無い病気なのでしょう、夢枕に立った、亡き前夫との約束を今こそ果たそうと、聖地ラサを目指す巡礼の旅に出た若き妻、結局心配で付き添うことになった現夫。そこに、前夫との間に授かった幼い息子も加わり。

途中、妻は志し半ばで亡くなり、血の繋がりはない父と子(もともと同居していたわけではありません)、そこに、母を亡くしたロバが加わっての旅となります(またロバかー)。

ラサへの巡礼の旅って見たことありますかね? 普通に歩くんじゃなくて、三歩歩いて、三度手を合わせて、腹這いになって、一度手を合わせて、起き上がって、、、この繰り返し。五体何とかって言ったな、何十倍、何百倍という時間をかけて進むのです。
その側を、車が猛烈なスピードで追い越していく。もうね、文明を真っ向から否定というか、歯牙にもかけないというか、わざわざの苦労をしょいこんでとしか。

しかしね、この歩行の仕方を延々と見ていますと、人は大地から生まれ、大地に還っていくんだなというのが納得できるんですね。
ましてや、この美しきチベットの自然。
なんでもかでも支配できると思う人間の愚かさよ。