ポーランドの巨匠キェシロフスキ。90年代
にフランスで制作した、同国国旗トリコーロールにちなんだ三部作『青の愛』『白の愛』『赤の愛』は有名ですね。どれも良かったなー。
70年代の母国、ポーランドでの長編デビュー作『傷痕』や『アマチュア』も良い。特に『アマチュア』はアマチュアカメラマン、8mmフィルムの方のね、にのめり込む男の話なんですが、これは本当に良かった。僕の中での今んとこ、生涯(いま少し生きるつもり)ベスト20には入るね。
80年代にはテレビの企画で『デカローグ』と題した、全部で十話の連作集を発表。デカは十ってことで、ローグは言葉って意味らしい。聖書の十戒をベースに、人が生きていくにおいて、経験した、もしくは経験するであろう、様々な状況を十の物語に仕立てています。
これがテレビの枠を超えて、映画祭などで絶賛され、うち二本は劇場公開用に再編集されて上映されるなど、キェシロフスキの代表作の一つに数えられています。僕も再編集された『愛に関する短いフィルム』の方を見ましたが、簡単に言うと“覗き“の話なんですが、安部公房の『箱男』のような、ジトーッと、ジワーッと、良かったなー。
で、大分前置きが長くなりましたが、本日は渋谷のシアターイメージフォーラムで、この『デカローグ』のうち『ある告白に関する物語』と『ある過去に関する物語』の二本を鑑賞です(それぞれのタイトルは全て『ある◯◯に関する物語』とつけられています)。
あっ、今年はケェシロフスキの生誕八十年、没後二十五年に当たり、全十作品が一同に、デジタルリマスター版での上映なのです。
キェシロフスキの言葉、
「誰の人生でも探求する価値があり、秘密と夢があると信じてるんだ」
それを愛で包み込むように見つめ、、、
今日の二本はいずれも、優しくない、痛い、心に突き刺さる内容だったのですが、その底にはね、ジワーッと滲み出すような愛が。
さて、何本観れるかな。
