先週に続き、渋谷シアターイメージフォーラムで、ポーランドのキェシロフスキ監督の『デカローグ』(88) を観賞です。
もともとテレビ企画として制作された十編の作品集。ベースは聖書の十戒です。
これがあまりにも素晴らしいため、テレビの枠を超えて映画祭などで上映、絶賛され、うち二本は劇場公開用に再編集され公開されるなど、キャリアを代表する作品集に数えられています。
そして、生誕八十年、没後二十五年を期して、この度、デシタルリマスター版の公開となったのです。
先週の二作品に続いて、本日も二作品『ある殺人に関する物語』『ある愛に関する物語』を鑑賞。『ある愛の~』は以前、劇場用に再編集された『愛に関する短いフィルム』(88) の方を観ていまして、二度目の鑑賞となります。
もうね、良いものはね、何度観ても良い。いやー、体に染み入りました。前回投稿でもチラッと触れましたが、簡単に言うと「覗き」の話です。愛するから覗くのか、覗いていたから愛したのか、いずれにせよ、覗いていた彼は肉体的かつ精神的な恥辱を受け(安部公房『箱男』中の挿話、隣のピアノ教師のトイレシーンを覗こうとした少年と同じですな)、それでもそこからの展開に少し救われ。
『ある殺人~』の方も最後まで息が抜けない、緊迫した内容なんですが、もう残酷極まりない殺人を犯した青年に、死刑の判決後ではありますが、担当弁護士のかける憐憫、そして青年の家族愛、、、いやー、どうしたもんかね。
僕はテレビなるモノを捨てて二十年近くになりますが、こんな作品が放送されるなら、また欲しいね。でも、日本ではこんな作品は作れないだろな。やっぱテレビいらないわー。
これで、十作品中四作品を鑑賞。しかし、全作品を観ようと思っていたところへ難問が。
来週からエリック・ロメール特集始まってしまうのです。Bunkamuraで。
勘弁してくれよ、身体一つしかないんだよ。どうすんだよ、二つに引き裂けっていうのかよ。スルメじゃないんだよ。