アニメというものを観ないし、どちらかといえば観たくない僕だが、今日はヒューマントラストシネマ有楽町で観てしまった。
なぜなら80年代の脱力系SF映画の金字塔、ソ連だけではなく世界中からカルト的人気を誇る『不思議惑星キン・ザ・ザ』(86、ソ連) のアニメ化作品だからである。
旧ソ連ジョージア出身のゲオルギー・ダネリア監督自らリメイクした『クー!キン・ザ・ザ』(2013) は、一昨年亡くなった同氏の遺作ともなった。
クー!、?
ワープしてしまった星の言語の一つである(三つほどしかないが)。
両頬を両手で叩き、斜め下に大きく広げ、足はガニ股にして発する。クー!
あっ、鼻の下に鈴をつけるのを忘れずに。
これやらないと、星の権力者たちが怒り狂う。
このシュールさの連続、面白いことは面白いんだけど、二番煎じとかそんなことではなく、やっぱアニメってのが良くない。アニメってのはなんでもかでも可能にする。こうなると、そのシュールさがシュールでなくなって、特に違和感のない“普通“のことになってしまう。
実写版を観てほしい。実際の人間が特に凝ったメイクもなく異星人なのである。プロペラが回る木の切株みたいなのが宇宙船なのである。そして、クー!
抱腹絶倒、その分、ラストへ向かっての幸福感が半端ない。
いずれにせよ、これまでに多くのSF映画なるモノが創られてきた。キューブリックの『2001年宇宙の旅』(68) と『不思議惑星キン・ザ・ザ』、この二本があれば後はどうでもいいような気がする。
(ちなみに実写版も同時上映してますが、もう数年経ってから再度観たいな。そして、同監督の昔の『私はモスクワを歩く』(64) を早く観てみたい。シネマヴェーラ渋谷のソ連映画特集でたまに上映されるんですが、何のかのとスケジュール合わず)