店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

木下惠介監督賞特集から『破れ太鼓』

本日は神保町シアターで昨日から始まった特集「映画監督木下惠介 歓びと哀しみの人間模様」のうち、昭和24年の喜劇『破れ太鼓』(49) を鑑賞です。
主演は、この間亡くなった田村正和のお父さん、阪妻こと阪東妻三郎です。

時代劇ではありません。当時の現代もの。一代でノシアガリ、田園調布(当時の駅舎がノスタルジー)に邸宅を構え、暴君よろしくの家長。奥さん、六人の子供達は戦々恐々。それでも、長男が自分のやりがいを見つけ、長女は自分の好きな人と出会い、親父が敷いた路線に次々に反発、ついでに長年連れ添った女房も、、、

タイトルの『破れ太鼓』は、この親父を家族が揶揄してつけたアダ名。周りにいるヤツ打ちまくる。ついでに次男が曲をつけて、親父がいないときに家族皆で歌う。凄い発想だね。
寂しく取り残された親父。自宅に残った次男に、ナゼかこの歌をリクエスト。過去の苦労が走馬灯のごとく。
徐々に心も和らいでいき、最後はお約束のハッピーエンド。僕のボロボロの身体も少し癒されたのでした。

そうそう、当時にしてはかなりモダンなシーンありましたね。母親と長女が結婚問題で話し合っているところへ、学校の演劇の練習をしてる次女のハムレットの台詞「尼寺へ行け、尼寺へ」が出てきたり。
また、長女の恋人になる青年画家の両親のクダリでは、、、

これまた画家である母親と、バイオリン弾きの父親の出会いはパリ。自宅がある鵠沼海岸で、旦那のバイオリンを聴きながら奥さんは絵を描きますが、広い広い砂地の、点々と松がはえた、背景には雄大な富士を望む(日本人だなー)、そんな景色を前にしても、ナゼか描かれるのは想い出のモンマルトルの街並み。