店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『シンプルな情熱』

この間のエリック・ロメール特集で通ったとき、この予告編何回観たんだろう?
そして、頭にこびりついちまった、Oui、、、

本日はBunkamuraル・シネマでフランス映画『シンプルな情熱』を観賞です。
主演の女優さん、3年ほど前にユーロスペースで観た『若い女』の人なんだね。
当初、このタイトルを、苦い女、と読み違えてたのですが、内容からして、当たらずとも遠からずって感じで。

若干シワが増えた今作は、よく素性は分からぬが、愛してやまないロシア人男性と、交接につぐ交接を重ねます。交接していないと皮膚が渇いて飢えて生姜ない、交接を重ねる度に恍惚と皮膚は溶け合い、一つとなっていくのです。

しかし、彼はパリを離れます(つかの間だが)。彼女は触れたようにモスクワへ。思い詰めた皮膚は幻にしか会えず、雪も人々も只過ぎ行くのみ、、、
病んでかかった心療内科。そこでの医師の質問。
「モスクワに行って良かった?」
「ええ」

そう、これこそ冒頭に挙げたOui。予告編で何編となく観て、僕の頭にこびりついた、ゆっくりと感情たっぷりの、ローマ字では三文字、カタカナでは二文字、たったこれだけに込められた、言葉では言い尽くせない想い。
二葉亭四迷の『浮雲』のお政なら、
「何言ってんだよ、お前さん。そんなこたーね、当たり前に決まってるじゃないか。そんな分かりきった質問止しとくれよ○△□×」

そして、もう一度2人は会いますが、、、

素敵な素敵な映画でした。全体に靄がかかったような画質。ラストも良く。
モスクワを訪れた時、トリュフォーの『アデルの恋の物語』(75) のイザベル・アジャーニみたいになったらどうしようと、ちょっと心配でしたが。