店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

ビリー・ワイルダー『失われた週末』

シネマヴェーラ渋谷で引き続き開催されています「恐ろしい映画」特集。本日は大好きなビリー・ワイルダー監督作『失われた週末』(45) を観賞です。

恐ろしいのベクトルがちょっと違いまして、アル中の物語です。朝からでも一杯のライウイスキーがないと耐えられない、そんな酒浸りの売れない作家を、レイ・ミランドが熱演します。
ヒッチコックの『ダイヤルMを廻せ』(54) では奥さん役のグレース・ケリーにマティーニを作ってあげてましたが。

もうね、アル中ね、怖いね。なりたくないね。お兄ちゃんや恋人がいくら心配しようが、何が何でも飲みたい。最後は幻覚が。もうダメだ。ズドンとケリをつけよう。
ソコに飛び込んできた恋人の説得。そして、“心の友“パーテンダー(人生に行き詰まった人が、最後に求めるのがバーテンダーなのです)が店に置き忘れていた、彼のタイプライターを持ってきて、、、

そして、彼は作家として書き始めるのです。アル中として送ってきた苦悩の日々を。まさに、今まで目の当たりにしてきたこの映画のストーリーを。これはまさしく、プルーストの『失われた週末』、もとい、『失われた時を求めて』ではありませんか。

酒は只ソコにあるだけ。良い酒とするか、悪い酒とするかはアナタしだい。

しかし、ワイルダー、小道具の使い方がホントうまいね(ポスターは二年ぐらい前に同館で上映されたときのものです)。