店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『スペードの女王』

引き続きシネマヴェーラ渋谷で上映されています「恐ろしい映画」特集に出掛けまして、本日はイギリス映画『スペードの女王』(49) を観賞です。
原作はロシアの国民的詩人、プーシキンの同名の短編小説(詩に対しては散文と云うべきか)。これまでにも、幾多の舞台が上映され、チャイコフスキー作曲によるオペラもあるとか。

今作はイギリス映画ですから、もちろん英語劇ですが、役名は原作通りロシア名。お金の単位もね。
そして、金銭欲、出世欲のため狂気に囚われる主人公の大仰な演技。演劇の国ならでは。しかし、最後の悲劇の瞬間まで、それがイヤミなくシェイクスピア劇のような迫力で迫ってくるのです(原作はサラーっとしてるのですが)。

賭けトランプが催されるクラブのシーン、そこでのジプシー達の妖艶な躍り、主人公の陰鬱な住居の一方、贅を尽くした舞踏会や劇場のシーンなど、セットや衣装等美術の類いも申し分なし。
そして、狂気の主人公に利用されてしまうリザヴェータ役の女優。この美しさはどうしたもんか。
僕が狂気の発作に見舞われそうな。

原作を、ついこの間読んだばかりで、どんな映画に仕上がっているんだろうと、興味津々で出掛けたんですが、これは本当に素晴らしい、原作読まなくてもいいから、映画の方はぜひご覧下さい。