引き続きシネマヴェーラ渋谷で開催されていますサイレント映画特集に出掛けまして、本日は、後のあの『フランケンシュタイン』に影響を与えたといわれるドイツ映画『巨人ゴーレム』(20) を観賞です。
巨人とは云っても、材料は土で背丈は人間と変わらない。一昔前の“お笑い“のようなオカッパ頭に泥を塗りたくったような顔。どんなに凄んでみても笑える。
ある皇帝のもとでのユダヤ人救済のため、同人種の尊師と呼ばれる老人が、悪魔の力を借りて拵えたゴーレム。日頃はその存在が目立たぬよう(おいおい、どうしても目立つよ)召使にして、薪割りやら水汲み、果ては買い物まで。
買い物カゴ下げて初めてのお使いに出掛けるゴーレム。その姿もさることながら、周りが、買い物カゴ下げたその姿に怯えるのが笑える。
そして、ユダヤ人を自分の領地から追い出そうとした皇帝のもとに尊師と出掛け、皆を救ったゴーレム。一躍ヒーローとなるも、そのままにしとくと、今度は危害を加えかねないお告げが。二律背反。傲慢な人類に与えられた宿命。
果たして、反逆の徒となったゴーレム。暴れ暴れて。尊師の娘の間男を館のテッペンから叩き落とし、館に火をつけ、娘の髪をむんずと掴み引きずり回し。
そして、フラフラと現れたのは、幼気な女の子達が無邪気に遊ぶ広場。ビックリした女の子達、一目散に逃げ惑う。しかし、一番ちっちゃな女の子がヨチヨチと近寄ってきて、、、あー、ゴーレム、止めてくれゴーレム、思わず画面に向かって叫びそうになった僕を嘲笑うかのように、女の子を優しく抱えあげたゴーレム。
そして、この女の子の手により、永遠の眠りについたゴーレム。
あー、なんと、なんと美しいことよ。本当に一幅の宗教画を観るような、なんと美しい場面でしょう。
サイレント映画よ、ドイツよ、ゴーレムよ、ダンケシェーン。