引き続きシネマヴェーラ渋谷で開催されています「素晴らしきサイレント映画」特集に出掛けまして、本日はグロリア・スワンソン主演のアメリカ映画『舞姫ザザ』(23) を観賞です。
グロリア・スワンソン、若いねー、可愛いねー、驚いたねー。それもそのはず、これから27年後のビリー・ワイルダー監督の名作『サンセット大通り』(50) でしか、観たことがないんですから。
人気絶頂の花形女優ザザが、劇場で貴族の外交官と出会い恋に落ちるも、彼の留守中に自宅を訪れると、そこには奥さんと子供が。失意のまま、玄関口のカーブの階段を下りていき、、、
おー、このシーンは『サンセット大通り』の悲しいラストを彷彿とさせるではありませんか。
時代はサイレントからトーキーへ。サイレント時代は花形だった彼女も、プライドだけは高いが忘れられた女優に。復活へ望みをかけていた脚本家のウィリアム・ホールデンを一寸した行き違いからバーン。そして、気が触れたまま、ラストの階段を降りてくる余りにも有名なシーン。
このサイレントからトーキーへの移行を題材にした映画は他にもありますね。この頃では、ジーン・ケリーのあの水溜まりのダンスで有名な(僕は何が良いのか分かりませんが、、、)『雨に唄えば』(52) とか、最近ではフランス映画の『アーティスト』(2011) とか。後者はあえてサイレントで撮ってるのも面白かった。
自称映画通のお爺さんいまして、大体爺さんてのは、若者とか新しいものに、何かしらケチつけないと気が済まないんですよね。で、『アーティスト』観たらもう早い早い。
まあ、大体良く出来てたけどね、あの雨のシーンはイタダケナイね。だって、ハリウッドに撮影所作ったのは、雨が少ない所だからなんだよ。
僕は心の中で想ったものでした。
でもね、昔の『サンセット大通り』でも、ウィリアム・ホールデンが雨でずぶ濡れになって帰ってくるシーンありましたよ。
この時、僕の中でフト繋がるものが。
『アーティスト』は昔の映画へのオマージュをふんだんに盛り込んでいますが、詰まるところ、これは『サンセット大通り』への、グロリア・スワンソンへのレクイエムなのではないかと。
映画界がサイレントからトーキーへ移り、落ちぶれた俳優が再び浮かび上がることなく悲劇を迎える『サンセット大通り』に対して、『アーティスト』はそんな俳優が復活する物語。
『アーティスト』の監督はじめ製作陣は、グロリア・スワンソンへ、ひいては映画界を支えてきたサイレント時代の全ての人へ、愛情を一杯に込めて、安らかに眠れと伝えたかったのではなかろうか。
あー、泣けてきた。皆さん、サイレント時代を観よう。劇場もサイレント映画を上映しよう。
今はCGやらなんやら、何でも可能な時代。しかし、制約が多いからこそ、思考を働かし楽しめることってあるからね。
便利がいつも幸せとは限らない。
(なんか、映画の内容から大きく外れてしまった。ところで、カクテルに「ザザ」ってあるんですが、これと関係あんのかな)