ナボコフの後期長編『アーダ』。英語時代だけど、母国語ロシア語とフランス語も飛び交い。言語で読めたら(理解できたら)楽しかろう。
「溢れるエロとユーモア」(訳者解説)、略してエロモア、、、そうそう、ブルースミュージシャンのエルモアに『もう一杯、酒をおくれ』ってあったね。
ベストセラー『ロリータ』のハンバート・ハンバートが愛飲するのは「パイジン」、ジンのパインジュース割り。
僕だったら、生のパイナップルそのものを使って、その八分の一の量を適宜カットして、ボストンシェーカーのガラス部分で潰し、たっぷりのジンと共にレモンとシロップを少々加えてシェークして作るけど。
カクテルの国、アメリカにおいては、缶か瓶詰めのパインジュースでテキトーに作るのが正しかろう(ハンバートも直ぐ飲めるしね)。
『アーダ』においては、主人公のヴァン(この物語の筆者でもある設定)とリュセット(ヴァンのいとこでもあり、兄妹でもあり、恋人でもあるアーダの妹)が、とある酒場で再開するシーン(このシーンの細かい描写のなんと素敵なことか)。
ヴァンの古典的なジンアンドビターズ(ジンにビターズと呼ばれる苦味酒を垂らしたもの)に対して、リュセットの「シャンペリゼット」って、こりゃどんなカクテルだ?「そのねちゃねちゃしたもの」って。
こんな推測はどうでしょう。
シャンパンとリュセットなら、シャンペリュセット、そこにアニゼット(アニス酒、フランスのマリーブリザール社のヤツが有名)を加えてシャンペリゼット。
つまり、アニス酒のシャンパン割り。食前酒にバーのカウンターで、ロートレック描くところの(笑える)、そんな格好をした女性が飲むにはピッタリじゃないですか。
「ねちゃねちゃ」とまでの粘性はないけどね。
プルーストの『失われた時を求めて』の如く、この『アーダ』もかなりの修正が施されたままになってるようですが(こちらは物語の中でのこと)、このカクテルの作り方書いてないですかね?