男が粋であるための“学術的な“指南書とも云える、19世紀のフランスの文豪バルザックの『風俗研究』を飲んでいますと、どうもこのバルザックって御仁は、大好物の珈琲を一日何杯も飲む一方で、酒の方にはあまりよい顔をしない。
この文章の一部は、当時発売されベストセラーとなったブリア・サヴァランの『美味礼讃』の付録に組み込まれたものですが、サヴァランに対し、珈琲ってものが分かってねー、と珈琲の効用やら美味しい淹れ方、独自のブレンドなどを捲し立てる一方、酒は飲みすぎるとヤバいよーと脅す。
そして、この本に添えられた絵がヤバい。産業革命で人間が歯車のごとく労働を強いられ、その憂さ晴らしにジンをあおりまくる、お隣の国、ロンドンの人たちの様子。分かりにくいけど、目がトローン。
昔は我が国日本でも、安くて酔えるからって、ジンのストレートを、ジンストと称して(僕が略した訳ではありませぬ)パカパカやっていたらしい。ハタからは、ジンストやるヤツなんざ、人間じゃねーみたいに思われてたらしい。
それが今じゃクラフトジンだって。つい最近までブームになってたような、世の中、分からないもんですなー。
と、前置き長くなりましたが、スコットランドのボトラー、キングスバリー社が手掛けるビクトリアンバットジンのシングルカスク入りました。
ジュニパーベリーがこれでもかとふんだんに使用されたビクトリアンバットジンの通常製品は47°(緑っぽいラベル)なんですが、不定期にそのシングルカスクタイプも発売されており、そのたびどこに、樽熟による色合い(黄金色)、アルコール度数が変わっています。
今回のは色も濃く、なんと、59.3°もあるではないですか。
バルザックよ、怒らないでおくれ。チビチビっとやるだけだから。
(パリに渡ったバド・パウエルは度々、演奏の合間に勝手に客の酒を飲んで怒られてたらしい)