三年前のシネマヴェーラ渋谷でのソビエト映画特集で、『貴族の巣』(69) と云う作品があり、原作がツルゲーネフで、ヴィスコンティからの影響で云々、かつフィルムの赤茶けた劣化感が良い意味で趣を与え、兎に角素晴らしかったのですが、この監督がコンチャロフスキー、初めて知りまして。
もう亡くなってんだろなー、と思いきや、ごめんなさい、84歳にしての新作が。
本日は新宿武蔵野館でロシア映画『親愛なる同志たちへ』を観賞です。
公開から一月が経ち、そろそろ終映かもと気は焦っていたのですが(フランス映画特集やってて、そっちへ行ってたもので)、イヤー観れて良かった。新作では久しぶりの感動、満足、余韻に浸れました。
ソ連邦下の62年に起こった労働者のストライキ事件。それを沈めるために、当時の上層部がとった無差別な市民への銃撃。そして、その隠蔽のためにとられた徹底的な交通、通信の遮断、かん口令、、、
イデオロギーってなんだろね? 国民の平等な幸福を掲げ革命を起こし実現したイデオロギー国家も、その維持のためには粛清につぐ粛清。幸福どころかちょっとした息さえつく場もないんだからね。
ソ連の前のフランス革命の一時期だって恐怖政治と呼ばれる同じような状況があったし。
それでも、美しき自然や、親子の愛情だけはイデオロギーでも支配できない。端正なモノクロ映像から、それが厳かに主張されていたのでありました。