店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『ベルイマン島にて』

ついこの間のシャンタル・アケルマン監督特集での『囚われの女』が余りにも素晴らしく、もう少し他のも観てみたいなーと思っていたんですが、先週日曜日のロシアの新作『親愛なる同志たちへ』に続いて、もう一本どうしても観たい新作がありまして。

本日はシネスイッチ銀座で、そのもう一本、久しぶりのフランスはミア・ハンセン=ラヴ監督の『ベルイマン島にて』を観賞です。

ベルイマン。そう、スウェーデンが世界に誇る巨匠イングマール・ベルイマンが製作現場にもし、晩年は居所にもしていた孤島を舞台に、創作のインスピレーションを得ようと、同島を訪れた、ベルイマンファンでもある映画監督らしき夫婦によるあーだこーだの物語。

奥さんの方が、同島のベルイマンに関わる人たちに訪ねると、どうも彼は人としての評判が良くない。
自分の好きな作品を作った人であれば、人としても好感であって欲しいだって。
そんなことプルーストに言ってみな(どうも『囚われの女』が頭から離れない)、一笑に付されるのがオチ。
そして、美しき自然の数々よ。

こういう場所からは、製作の一舞台とはなっても、芸術的発想は生まれない、それはごみごみした人と人がぶつかり合う雑多なカオスなところから生まれるからね。
家族的な部分に心が休まるようじゃ、本当の芸術は造り出せない。
ベルイマン愛を表明しつつ、ベルイマン愛あればこそ、映画・芸術に対するミア監督自身の葛藤を、見せつけられたような気がするのです。

そして、ラスト辺りにようやく、ベルイマン晩年の自宅が写し出され、五年ぐらい前にユーロスペースで観た、ベルイマンのドキュメンタリー作品を思い出したのでありました。