店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

スロバキア映画『神に仕える者たち』

僕は選挙と云うものに行ったことがないんですよ。
この話をすると、大体「非国民だ」って言われるんですが、最後の晩餐には白米に焼いた海苔を(焼き海苔ではないよ)巻いて食べて、食後には干し柿をたらふく食べて、、、もう、どう見ても、れっきとした日本人ですよね。

いや、俺の言ってんのは違うんだ。選挙にいかないと云うことはだな、我が国が採用している民主主義なるものをぶち壊すことなんだぞ、、、
いや、こっちこそ、ちょっと待ってくださいよ、と言いたいですね。
民主主義は分かるんですけどね、その選挙の、数の論理なるものがね、僕には良く分からないわけですよ。
例えば、総数100のなんらかで、51対49となった場合、49の人々は、僅か2しか差がない51に従わなければならない、これはどう考えてもおかしなこととしか思えないんですよ。
それを、これこそ民主主義だーって、それこそおかしなことと思うんですよね。

と、前置きが長くなりましたが、先月末から京橋の国立映画アーカイブで開催されています特集「EUフィルムデーズ2022」より
、本日は本邦初公開、スロバキアの『神に仕える者たち』(2020) を観賞です。
イデオロギー国家における若き神学生たちの受難の物語です。

本来の宗教感を歪められることに反発する神学生(若さと云うもののなんと偉大で危ういことか)、それをなだめる“大人な“教師たち、そして、粛清という手段で異分子を取り除く国家当局者たち。この三つ巴が息をもつかせぬ展開を見せ。
あーあ、僕なんか、先述のような理屈を捏ね回している時点で、早くも粛清のリストに入れられてるんだろなー。

それはさておき、日頃、なんか新作ってつまんないなー、と思っていたところ、これはスゲー。ちょっとね、ビックリしてしまいました。
ワンシーン、ワンシーンが、ちょっとした隅々までが本当に美しく。白黒ってのもあってか、ドライヤー、ベルイマン、ゲルマンあたりを彷彿とさせ。
これは一回は観とくべき作品ですね。