店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

アニエス・ヴァルダ『冬の旅』

ずっーと観たかったアニエス・ヴァルダ監督、サンドリーヌ・ボネール主演の『冬の旅』(85) 。今年春だったか、国立映画アーカイブでのフランス女性映画監督特集でプログラムにあったものの、たった一回の上映、スケジュール合わず観れず。
と、なんと、昨日から渋谷はシアターイメージフォーラムで単独上映とな。本日早速出掛けてきました。

イヤー、ほんと観れて良かった。
日本語タイトルとポスターのイメージとは裏腹な、若き女性ホームレスの物語。
寒さに凍えるサンドリーヌ。夕方辺りから渋谷辺りも寒くなってきて、そんな彼女とともに抱き合って暖をとりたい、そんなついつい引き込まれてしまった100分ちょい。

あー、自由ってことのなんと恐ろしいことか。彼女を死に追いやった自由、そして孤独よ。
上映中、館内にはオッサン(多分)のイビキが鳴り続いていたけど、あー、こんなに安心して寝れるって、決して“自由“だからではなく、社会とか公共とか家庭とか、そんな自分を取り巻くもろもろに順応して生きてるからなんだよね。

はるか二千年前、クリストがボロをまとってサマヨイ、それに信者が現れ、次々と。
ホームレスの彼女も、のほほんと生きる人々になにがしかの感情を芽生えさせ。
そこに、この映画の唯一の救いがあるような。