先月末から神保町シアターで始まってました「没後10年 女優・山田五十鈴」特集に出掛けまして、本日は成瀬巳喜男監督による昭和13年の東宝作品『鶴八鶴次郎』(38) を観賞です。
新内のあの独特の語り口とそれに呼応する三味線の音。いや、これは洋酒じゃないね、まったりとした酔い口の日本酒そのものだね。
その昔、駒形どぜうで丸鍋にササガキ敷いて一杯やっていたところ、どうもお上品な盃ではおっつかないんですよね。オーイ、コップ持ってきてくれー。徳利からコップにドバドバ、そしてグイーと。やっぱこれじゃないとね。
と、本作品のラスト、酒場のシーン。太夫・鶴次郎役の長谷川一夫が、やはり途中からコップに切り替えグイーと。
芸の世界の厳しさ、浮き沈み、相方、三味線・鶴八への思い、これらいろんなものが混じりあった感情は、とてもじゃないけど盃ごときじゃおさまりきらないからね。
駒形どぜうにおける僕とは対照的な、悲しくせつないコップ酒、、、