引き続き神保町シアターで開催されています「没後10年 女優・山田五十鈴」特集に出掛けまして、本日は昭和11年の溝口健二監督による『浪華悲歌』(36) を観賞です。
戦前の和洋折衷華やかな大阪の街を舞台に、家族の金銭問題がキッカケとは云え、オボコからオメカケを経てシタタカナ不良娘へと変身していく五十鈴嬢。
いやー、見事だね。
世間一般の目からしたら、この変身は堕落以外の何物でもないんでしょうが、なんだろなー、なんかやりきれないモヤモヤ感の中にも潔いと云うか、清々しい感じさえするんですよね。
吉行淳之介論的に云えば、娼婦の方が不感症で、お嬢様の方が一皮むけば多感症の如き逆説。
それにしても、昔のフィルムだから、画も音もヤバイね。同年の溝口作品、同じく山田五十鈴主演の『祇園の姉妹』(今特集にもあり)も、昔どっかで観たけどヤバかった。
機会あれば今のうちに観といた方がいいね。