店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

クルーゾーの『情婦マノン』

シネマヴェーラ渋谷で昨年末から開催されています「ヌーヴェル・ヴァーグ前夜」と題する特集。
ヌーヴェル・ヴァーグ時代の監督達が敬愛する、先輩フランス人監督九人の作品を上映しておりまして、うち、本日はアンリ=ジョルジュ・クルーゾーによる『情婦マノン』(49) を観賞です。

マノンと云えばもう御存知、アベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』ですね。職業娼婦というより思考から何から存在自体が娼婦的であるマノンと、騎士グリューとの悲恋の物語。
映画では時代設定を戦後に。

どうですか、このコケティッシュすぎるマノンは。ココット、つまりは女衒の粋な女を語源にしながら、この童顔、体型。着飾れば着飾るほど、ナボコフ名付けのロリータみたいに。

それでも、ラスト、密航のユダヤ人達に交じり約束の地を目指す途中の、広大な砂漠に現れたオアシス。そこでの水も滴る彼女の太もも、、、
あー、大人になったなー。
予期せぬ原住民襲撃の流れ弾に、短い生涯を閉じるものの、その砂漠が、乾ききって全てを呑み込む砂漠が安住の地となり。

恋人グリューの熱き別れの接吻と共に、マグダラのマリアからの祝福も得られたことであろう。