引き続きシネマヴェーラ渋谷で開催されています「ヌーヴェル・ヴァーグ前夜」と題する特集。ヌーヴェル・ヴァーグ時代の監督達が敬愛する、先輩フランス人監督九人の作品を上映しておりまして、うち、本日はジャン・ルノワール監督のハリウッド時代の作品『自由への闘い』(43) を観賞です。
これ、前も同館でかかってたんですが、何でもっと早く観なかったんだろ。それほど悔やまれる、そして、それほど素晴らしい作品。
ENDの文字と共に立ち上がらなければならない。それなのに腰痛が、いや間違えた、感動が、大いなる感動が、僕を席にとどめてしまうのです。
主演のチャールズ・ロートンとモーリン・オハラのコンビ。ヒッチコックのイギリス時代の最後の作品『巌窟の野獣』と同じですが、こんときのチャールズ・ロートンの怪演よ。今日もベクトルは違うけど、負けず劣らずの“怪演“に、ほんとこの人は凄い。
そして、もうね、何度も云うけど、モーリン・オハラの美しさ。『巌窟の~』の時のヒッチコックのなめ回すようなカメラだろうが、今日の凛としたアップの多用だろうが、兎に角、美しいものは美しい。
あっ、映画の中身に触れんの忘れてた。
まあ、いいや。一度観てみて下さい。
人間の尊厳とは何か。
戦時下のあまりにも緊急な、特異な状況が映画の舞台ですが、これは人間に課された永遠の問いのような。
そして、勇気を持つことの重要性と。