店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

引き続きルイズ・ブルックス特集

先週に続き、シネマヴェーラ渋谷で開催されています、サイレント期のハリウッド女優ルイズ・ブルックス特集に出掛けまして、本日はジャン・ルノワール監督によるフランス映画『牝犬』(31) と、G・W・パプスト監督によるドイツ映画『パンドラの箱』(29) の二本を観賞です。

『牝犬』

先週観たパプストの『三文オペラ』同様、ルイズ・ブルックスは出ておりませぬ。

冴えないオッサンが、ヒモ付きの若い娘に恋してしまい、破滅していくお話。

構図といいカメラワークといい、ルノワールらしい丁寧な作り。カット割りの多さもね。

よくあるネタだけど、観ているうちに、ラングの『緋色の街』を思い出し。あとで、改めてチラシ見たら、今特集でラングのこれもあったのね。しかも、その解説によると、ラング作は『牝犬』のリメイクとな。
似てるわけだ。

『パンドラの箱』

そして、ようやくルイズ・ブルックス出演作品。これが観たかったのです。
皆さんも同じ思いのようで、かなりの混雑。

もうね、美しい、素晴らしい。
彼女の代表作であり、ついでに監督のパプストの代表作であるってのが頷けました。
いやー、何度も言うけど、美しい、素晴らしい。
ほんと、このサイレント期のドイツ映画はいいよね。ドイツ表現主義とは、よくいったもので。

物語は八章に分けられてましたが、大きく云えば、はからずも結婚相手を殺めてしまう前半と、そこからの逃亡とラストまでの後半に分けられ。

前半部分は、ゾラの小説『ナナ』を彷彿とさせる(この映画自体の原作は別にあり)、劇場舞台裏のスピード感溢れるドタバタ劇に観入ってしまい、後半では一転、僅かな灯りが作り出す絵画のごとき完璧なカットの連続に、痺れてしまい。
ルイズ・ブルックス演じるルルの頭上に訪れた、束の間の祝福も、、、

全ての男を虜にするルル。ルイズ・ブルックスの魅力の前には、これはね、しょうがないね、