『牝犬』
先週観たパプストの『三文オペラ』同様、ルイズ・ブルックスは出ておりませぬ。
冴えないオッサンが、ヒモ付きの若い娘に恋してしまい、破滅していくお話。
構図といいカメラワークといい、ルノワールらしい丁寧な作り。カット割りの多さもね。
よくあるネタだけど、観ているうちに、ラングの『緋色の街』を思い出し。あとで、改めてチラシ見たら、今特集でラングのこれもあったのね。しかも、その解説によると、ラング作は『牝犬』のリメイクとな。
似てるわけだ。
『パンドラの箱』
そして、ようやくルイズ・ブルックス出演作品。これが観たかったのです。
皆さんも同じ思いのようで、かなりの混雑。
もうね、美しい、素晴らしい。
彼女の代表作であり、ついでに監督のパプストの代表作であるってのが頷けました。
いやー、何度も言うけど、美しい、素晴らしい。
ほんと、このサイレント期のドイツ映画はいいよね。ドイツ表現主義とは、よくいったもので。
物語は八章に分けられてましたが、大きく云えば、はからずも結婚相手を殺めてしまう前半と、そこからの逃亡とラストまでの後半に分けられ。
前半部分は、ゾラの小説『ナナ』を彷彿とさせる(この映画自体の原作は別にあり)、劇場舞台裏のスピード感溢れるドタバタ劇に観入ってしまい、後半では一転、僅かな灯りが作り出す絵画のごとき完璧なカットの連続に、痺れてしまい。
ルイズ・ブルックス演じるルルの頭上に訪れた、束の間の祝福も、、、
全ての男を虜にするルル。ルイズ・ブルックスの魅力の前には、これはね、しょうがないね、