そうだったのか、鈴木清順、生誕百年だったのね。
と、本日は神保町シアターでの初期特集に出掛けまして、昭和41年日活作品『東京流れ者』(66) を観賞です。
の前に、今特集にもあります、その翌年作『殺しの烙印』。
二年前に同館で観たのですが、もうね、今もまざまざとその素晴らしさがよみがえりますね。
宍戸錠と真理アンヌが、ベルモンドとアンナ・カリーナの如し。
しかし、そこは日本、ヨーロッパの乾いた感じとは対照的な、どこまでも湿った滴る質感よ。
真理アンヌの肌を打つシャワーしかり、宍戸錠が炊き上がったばかりの炊飯器に顔を突っ込み、『飯食いてー』と叫ぶシーンしかり。
あー、ストーリーは有って無し。あえて云えば殺し屋NO.1を決めるアーダコーダ。
これを観た日活の社長は激怒したらしい。そして、鈴木清順クビ。
大衆娯楽ではなく、芸術を創っちまったばかりにね。受難。
あっ、前置き長くなりましたが、『東京流れ者』でしたね。
渡哲也主演の流れ者ヤクザの物語。冒頭の白黒画面での展開と、ラストのセットの奇抜さに、流石の美学を一応は垣間見たのですが。
たまりません、突っ込みどころ満載。もうね、演技が真剣であればあるほど、おいおいって。
笑いをこらえるために、何度自身を傷つけたことか。
ダメだ、頬がひくひくする、涙が滲む。
真剣に観てる爺さんたちに失礼だろ。
そして、一つ発見。
撃たれた腕から弾を取り除くシーン。消毒に使うはなんとゴードンジン。口を含んでプーって吹き掛ける。
このゴードンジン、冒頭に挙げた『ツィゴイネルワイゼン』でも出てくるんですよ。
医者が手を洗う消毒用にね。
キリンビールさんよ、アンタんとこが輸入してるゴードンジン、43°に度数落としちゃったけれど、昔の47.3°に戻しておくれ。
鈴木清順生誕百年を期して。