店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

吉永小百合『ガラスの中の少女』

昨日から神保町シアターで始まりました吉永小百合特集。
うち、本日は初主演となる昭和35年日活作品『ガラスの中の少女』(60) を観賞です。

ガラスは何故美しいのか。
割れる素材だからである。

長きにわたる欲にコーティングされた、人生強化ガラス。
その醜き姿に変わり果てる前に、自ら割れてしまえ、美しきままに。

危うき映画である。
純愛を貪り尽くしそうな偏愛。その狭間での刹那の輝き。

題材だけでなく、場面場面の映画的残念度からも危うき映画とは云え、それを補い余りある、というか、そんな危惧をも遥かに突き抜けた、吉永小百合と浜田光夫のガラスの如き無垢な輝きに、僕の曇りに曇った心も、少しばかりの晴れ間をみせたのでありました。