店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『驟雨』

あらゆるものを咥えて持ち帰る犬も、夫婦喧嘩だけは我関せず、、、

久しぶりの国立映画アーカイブ。先週から始まってました「日本映画と音楽」と題する特集のうち、本日は成瀬巳喜男監督による昭和31年の東宝作品『驟雨』(56) を観賞です。

日曜なのにスーツ姿の夫、佐野周二。
妻、原節子は普段着の針仕事。
同じ居間にありながらの違和感。

姪の香川京子登場、新婚生活の不満を聞いてやるギコチナイ二人。
隣に越してきた小林桂樹夫婦には、隣の芝生は青く見えるのか、仲良さそうに映る二人だが。

見掛け倒しの青い芝生、そんな猫の額ほどの庭に転がり込んできた紙風船。
「叔父ちゃーん、それとってー」
そんな隣の子の哀願もそっちのけ、佐野周二と原節子は怒濤の打ち合いを始める。

手を休めたら、紙風船が地に落ちたら、それこそ全てが終わってしまう、とでも云わんばかりに、うってうって打ちまくる。
夫婦生活とは、そんなものなのかもしれない。

(縁側にさりげなく置かれた空き箱の刻印が、佐野周二勤務する会社名。演出細かいねー)