都から遠く離れた山の中。
満開の桜舞い散る森の下には魔物がすむ。
都の魔物はしょせん生き人。
首をハネれば意のままなれど、山の桜の魔物となれば、人知及ばずして、ただただ恐れるものなり。
満開の桜舞い散る森の下には魔物がすむ。
都の魔物はしょせん生き人。
首をハネれば意のままなれど、山の桜の魔物となれば、人知及ばずして、ただただ恐れるものなり。
と、神保町シアターで始まりました文学映画特集。うち、本日は坂口安吾原作の『桜の森の満開の下』(75) を観賞です。監督は篠田正浩。主演は若山富三郎と岩下志麻。
原作は全集で読んだのですが、かなり前なもんで、タイトルからの現代日本人全般が抱くイメージに反して、ちと恐ろしかったぐらいの朧さなのですが。
咲き乱れ舞い散る桜、雅な衣服と舞台装置。ちと崩れかかった(ご免なさい)岩下志麻の妖艶さ。そして、それを取り囲む数多の生首。西洋ならばワイルドのサロメの如き耽美な世界。
力では誰にも負けない、若山扮する山賊をもペロリとひと呑み。
あー、桜の下で狂喜乱舞する現代日本人よ。桜の下には魔物が住むと云う。
酒は飲んでも呑まれるな。