シネマヴェーラ渋谷で引き続き開催されています、アイダ・ルピノ特集に出掛けまして、本日も彼女の監督作品である『ヒッチハイカー』(53) と『暴行』(50) を観賞です。
『ヒッチハイカー』
予告された殺人ドライブの被害者に精神的余裕なんざ、もちろんあり得ないように、それは加害者側にも云えるけど、疾走する車のように僕の心臓も高鳴ったまま。
車が停止しても、それはただの物理的な休息であり、心臓はさらにバクバク。
銃を手に、自己の“正当性“を主張する殺人ヒッチハイカー。どこまでも続く不毛な大地は、ただただ不毛なだけであり。
あー、アメリカだなー。
アイダ・ルピノよ、良い仕事するなー。
『暴行』
結婚も決まり、幸せの絶頂期に性暴行を受け。そんな女性の再生の物語。
先々週観賞の作品と同様、精神に深い傷をおった彼女は家出、行き倒れたところを救った若き牧師は、結果、彼女の魂の救世主とももなり。
「傷ついた者には幸運が訪れるんだよ」
そして、別れの時。
“試練“を乗り越え帰郷する彼女を見送る牧師。
二人の間には、ただバス停の標識のみ。
その標識のポールを包み込むように抱き合う二人。そのポールは障害になるどころか、二人の精神的支柱ともなり。
「心が通じあった者どおしには、サヨナラの言葉はないんだ。真の友情には時間も距離も関係ない」
一人残された牧師の至福の表情よ。
あー、題材の“重さ“を超越した、なんと至福な映画だろう。
繰り返しになりますが、アイダ・ルピノよ、良い仕事するなー。オールドハリウッドには外せない監督の一人として、認識を新たにしたのでありました。
(体調よかったら、もう一本観たかったんだけど。まあ、またの楽しみに)