店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

ベット・ゴードン特集

このチラシに引かれて持って帰ってはきたものの、観よかどしよか。

と、この間の東京国際映画祭の時、去年に続いて映画関係者のニューヨークのオジサンが友達と来店。
たまたまチラシが手元にあったんで、そうだよ、聞いてみよう。

「ベット・ゴードンの特集やるんだけど、知ってる?(以下、拙い英語力のため、多分です)」
「おいおい、知ってるに決まってるだろ。おー、日本でやるのか」
「観といた方がいいかな?」
「これは観とかんといかん。当時のニューヨークの全てが感じられるぞ」
「じゃ、観ようかなー。どれがいい?」
「全部だけど、とりあえず『ヴァラエティ』かな」

そして、その一週間後に彼の友達の、これまたニューヨークからの映画関係者が彼の紹介でご来店。
で、このチラシを観るなり「おー、ベット・ゴードン!」と嘆声。
おいおいおい、知らぬは我ばかりなりか。

ということで、渋谷はシアターイメージフォーラムで昨日から始まりましたベット・ゴードン特集。もちろん初体験。うち、本日はオジサンの助言どおりに『ヴァラエティ』(83) を観賞です。

ポルノ映画館の、チケットもぎりの小さな部屋は、迷宮への入り口。
現実は虚構であり、虚構は映像となり詩となり、我々の前にさらされる。

ニューヨークのネオンが、眩しけれは眩しいほど、幻影は色濃く、国歌に込められた想いが、強ければ強いほど、その空しさは増すばかり。

そして、なにより、当時のカラー映像の色合いとともに、あちこちをたゆたう煙草の煙が、僕をノスタルジーに誘うのでありました。