先週からシネマヴェーラ渋谷で始まってました「楽しくて怖い酒映画傑作選」と題する特集。うち、本日は『民衆の敵』(31) を観賞です。
禁酒法時代の成り上がりギャングをジェームズ・ギャグニーが演じ。
とくれば、この数年後に制作されたラオール・ウォルシュの『彼奴は顔役だ!』が思い出され(今特集にももちろんあり)。
とかく疎まれる引き揚げ兵士からギャングのトップに登り詰めるも、大恐慌の波には抗えず、痛ましくも最後は雪積もる法廷の階段で息絶える、ある意味“浄化“された清々しいラストに、僕の心もある晴々としたウォルシュ作品。
一人の人物の心中に、善と悪との対比を見事に反映させた素晴らしい作品なのですが、一転、今日の作品は、出征した兄とギャグニー弟が善と悪とに分けられ、兄の功績が上がるほどに弟の悪が深まっていくと云う、二元論の最たる分かりやすき構図に。
ウォルシュ作品の“浄化“の雪に対して、今作品のラストは土砂降りの雨。何かを洗い流すのではなく、ありったけの恨み、妬み、嫉み、そんなもんが靄となって画面一杯を多い尽くすよう。
パーン、、、
この無惨な結末、あまりにも分かりやすい結末は、二元論の当然の帰結とは云え、心落ち込む、そんな日曜夜なのでありました。
とりあえず、ピール飲も。