店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

オリヴェイラ特集

オリヴェイラか描くドウロ川の美しさは、それを包み込む渓谷の美しさは、時に子供たちの笑顔に一層の輝きを与え、時に宗教的なものには一層の荘厳さを与え、、、そして、今作品、エマの美しさには、一層の官能を与えるのである。

と、本日は本当に久しぶりのオリヴェイラ作品。渋谷はBunkamuraル・シネマで開催されています彼の没後10年特集に出掛けまして、宿願でありました『アブラハム渓谷』(93) を観賞です。「完全版」と云うことで203分という長丁場。

度々引き合いに出されるフロベールの代表作『ボヴァリー夫人』ことエマは、元々は農家の娘であり、冴えない田舎医者との結婚を皮切りに、更なる野望を満たそうと、その挙げ句が自らを死に追い詰めてしまうのであるが。
そんな彼女には粗野な酒カルヴァドスが似合うのであり。

一方、ドウロ川渓谷で育まれるブドウ、あまりにも急斜面なため、機械でなく人力で丁寧に摘み取られたブドウから造られるポートワイン。
発酵の途中でブランデーを添加することにより、アルコールに分解されなかった天然の糖分が極上の味わいを与え。

あー、この甘美さよ、そして、ルビーにも薔薇にも例えられるその鮮やかさよ。
オリヴェイラのエマに、これほどふさわしい酒があろうか。

画面に写し出されるエマは、ドウロ川は、その渓谷は、僕の心を惹き付けてやまないのである。