店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『朝の波紋』

引き続き国立映画アーカイブで開催されています撮影監督、三浦光雄特集に出掛けまして、本日最終日、昭和27年の新東宝作品『朝の波紋』(52) を観賞です。監督は五所平之助、主演は高峰秀子、池部良。

まだまだ瓦礫やらバラックやら、タバコ燻らす戦争孤児なんかがあちこちの東京。
晴れた空を見上げても、男は赴いたビルマ戦線を思い出し、女はそのビルマ戦線で散った恋人を思い出す。

スーツ姿でバリバリと働く女、スーツは来ててもどこかしら煮え切らない男、対極のようでいて、人生と云うものの意味を掴みかねて困惑している様は似たものどうし。
そんな二人を惹きつけるのは、他者への愛、憐憫の情。

戦後復興の中で、数多の欲、金が渦巻こうとも、この情なくしては、本当の人の復興はあり得ないのである。
そしてその情を、画像として丁寧に切り取っていく、五所、三浦の仕事は本当に美しいのである。

あー、スーツ姿の高峰秀子よ。
上映終了後、満場の拍手、、、