引き続き国立映画アーカイブで開催されています中川信夫特集。最終日の今日は昭和35年の新東宝作品『地獄』(60) を観賞です。
オールカラー、ワイドスコープ、中川信夫が描く地獄絵図に対して、度々聴衆から漏れる失笑。さもありなん、芸術的昇華に至らない只の混沌。
地獄絵図が、法律で裁かれなかった罪人の、なおも現世にある者の、心理的投影ならば、それはまさしく現世そのものであり、責め苛まれている現在の苦悩ほど恐ろしいものはなく。
地獄絵図以上に、現世の罪深き‘’美しさ‘’が、上下のカメラワークやら、色鮮やかに輪廻する傘やらを通じ描かれ、悪魔の囁きの如く、度々僕を震撼させたのである。
兎に角、久しぶりに凄いものをみた。
でも、これは一度でよい。
上映中の幾度かの失笑、上映後の一割ほどの戸惑った拍手、あー、そのとおりなのである。
