店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

渋谷実『やっさもっさ』

先月から神保町シアターで始まってました、終戦80年特集。「戦後」を巨匠たちはどう描いたか。
うち、本日は渋谷実監督の昭和28年松竹作品『やっさもっさ』(53) を観賞です。

戦中は云うに及ばず、戦後は、わが国にも多くのものをもたらした。

闇で儲けるものもあれば、この映画のように、人の心に長く巣食う虚無感、そして、進駐軍人との間に産み落とされた数多の混血孤児、、、

ついでに挙げれば、野球選手になりたくなかった野球選手と、シュウマイ売りになりたくなかったシュウマイ売子のカップルも。

戦後間もない横浜を舞台に、すべてがカオスと化していき。

それでも親子の愛情だけは、たとえ望まれなかった子だとしても、肉親の情だけは、ショットが切り替わろうと、終の文字が映し出されようと、そこはかとなく我々の心をくすぐり続けるのである。