シネマヴェーラ渋谷で始まったルビッチ特集。行きたかったんだけど、明日の検査のための食事制限やらで、炎天下の渋谷をさまようのもなー、と、先週に続き、近場の国立映画アーカイブへ。
引き続き開催されています返還映画コレクション。これは、戦中戦後にアメリカに接収された、戦前戦中の日本映画で60年代に返還されたもの。うち、本日は昭和15年の松竹作品『美しき隣人』(40) を観賞です。
山間の田畠を守る女たち。
山は色づき川はせせらぐ。
しかし、一見のどかなこの女だけの構図は、男が戦地に赴いた、戦時下の象徴なのである。
夜、炉端を囲む母と娘。
戦地の息子に手紙を書くために、文字を習い、そして出来上がった、カタカナだけのたどたどしくも想い溢れる母の手紙を優しく直してあげる娘。
「この時の『ワ』はね、『ハ』と書いたほうがいいのよ」
そんな娘の恋人は、ちょっとしたすれ違いから、相まみえぬまま満州へと旅立ってしまう。
あー、娘の涙か、川の流れの激しさよ。
陽に照らされ、光輝く涙をたたえた水戸光子の美しさよ。
日本の女性は、日本の自然は、こんなにも美しいのか。
全てを覆い隠そうとする戦時下にあっても、この美の真理だけは、覆い隠せないのである。
(飯田蝶子と笠智衆もあいかわらずなのである。)
