引き続き神保町シアターで開催されています「女優魂2025」特集に出かけまして、本日は左幸子から、昭和38年日活作品『にっぽん昆虫記』(63) を観賞です。監督は今村昌平。
中川信夫監督の『石中先生行状記 青春無銭旅行』において、一見おぼこの、性に奔放な田舎娘を演じてから約十年後、左幸子は、今村昌平版‘’女の一生‘’において、戦中戦後にかけての或る女の、田舎から都会に出てしたたかに生き、やや老いていくまでを演じる。
冒頭、無毛の地を昆虫がガサガサとさまよい。
女のしたたかさは昆虫なのである。いや、この女ばかりではない、倫理、道徳など無縁の、ただ触覚と粘液とを頼りに生きる、全ての女が昆虫なのである。
その足跡は今村昌平によって、水墨画の如き美しさで表される。
しかし、それは、床の間に飾るには少し恥ずかしい、喜劇な、エロチックな、臭い立つようなものなのである。
今際の父親の口元に、彼の好物だった乳房を含ませる左幸子の神々しさをみよ。
その姿、柔らかな微笑み、、、開いた障子戸から差し込む光は後光となり、彼女は昆虫の殻を捨て、菩薩へと変身するのである。
