引き続き神保町シアターで開催されています「男たちの人生劇場」と題する特集。本日は昭和40年の大映作品『無法松の一生』(65) を観賞です。
勝新太郎と云う俳優は、映画を映画として破壊し、勝新色に染めていく。
そんな破壊者をさえ飲み込まんとする、有馬稲子の薄化粧の美しさ。
俥夫は人を乗せて牽いて行く。その重みが克服できなければ廃業である。
ふとした接触が叶わぬ想いの口火となり、やがて荒々しき太鼓の音の如く燃え盛り。
それはとても我が俥では牽いていけぬ、いや、我が心にはおさめきれぬ。
果たして、無法松と呼ばれた俥牽きは、稼業どころか、人生そのものに幕を下ろしたのである。
男の涙と女の涙が重なる。
そこには時間と空間のズレがある。
そして、悲劇の傑作が生まれる。
