第一次大戦後に戦場からニューヨークへ帰りついた男を待っていたのは、煮えたぎり煮詰まった、一杯の珈琲であった。
シネマヴェーラ渋谷で引き続き開催されています、ラオール・ウォルシュ監督特集。本日は『彼奴は顔役だ!』(39) を観賞です。
ヘンテコな邦題、付け放題。原題を直訳すれば、狂騒の20年代。
帰還兵としての歓迎も束の間、職はなし。
世は禁酒法の時代。そこに、新ビジネスあり。密造、密輸、もぐりの酒場で暗躍。瞬く間の“顔役“に。
しかし、世界大恐慌を惹き起こした、あの20年代末の株価の大暴落。“顔役“の株も大暴落、落ちぶれはて、よれよれ。
煮えたぎり、煮詰まった珈琲の如きアメリカよ。彼の人生よ。
しかし、一片の角砂糖は、白き幾ばくかの心は、まだ残っていたらしい。
いや、一片どころではない、正義の法廷へと続く幅広き階段、新時代へと続く階段、
そして、どこまでも白き雪に覆われた、その場所で、一時代を生きた男は、自らの幕を閉じたのでありました。
いやー、本当に素晴らしい作品。この間の『ビッグ・トレイル』も素晴らしすぎたけど。
と、どうでもいい話ですが、禁酒法時代、いろんな隠語ができまして。
密造酒はムーンシャイン、粗悪品が多いなかで良質なやつはリアルマッコイ、もぐりの酒場はスピークイージー。
最近、当店に来た外国人旅行者が、店内を見回し、「オー、スピークイージー」って。いや、もぐりじゃないんだけどね。
