店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『海の母』

先月から国立映画アーカイブで始まってました返還映画コレクションパート3。アメリカに戦中戦後接収され議会図書館に眠ってた、戦前戦中期の日本映画で60年代に返還されたもの。
うち、本日は昭和17年日活作品『海の母』(42) を観賞です。

東北ののどかな農村。
しかし、世は戦争真っ只中である。

既に長男を戦争で亡くした失意の母親は、兄と同じく海軍を志願する次男に、難色を示す。

繰り返す母と子の衝突。
親としての当然すぎる想いと、当時の国への忠誠というこれまた当然すぎる思想は平行線のまま。

場面場面の高ぶる感情を、女性浪曲師が、イヨー、ぺぺペン、哀しみの歌として披瀝する。

そして、そこは国策、戦意高揚映画。
母親は息子の海軍志願を受け入れ、その後の戦地からの手紙に対し、「お国の為に死んでおくれ」。

この時の、母親役、まだ若き頃の杉村春子の微笑をみよ。
戦時下の思想が仕向けた微笑、演技としてはこれ以外にない素晴らしい微笑なのである。

しかし、この微笑が素晴らしほどに、戦争とは何だったのか、そんな繰り返しの、当たり前の問いが浮かぶのである。

間もなく終戦記念日。今年は戦後80年。