店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

『バルタザールどこへ行く』

新宿はシネマカリテで、ロベール・ブレッソン監督の『バルタザールどこへ行く』(66) を鑑賞です。
同監督作は過去に『やさしい女』(69)『白夜』(71) を観てますが、どちらもドストエフスキーの小説を基にしています。そして、主演女優が美しい。素肌が美しい。ドミニク・サンダをご覧なさい。

今作品もドストエフスキーの『白痴』の中のロバの挿話を基にしているらしい(どんな話だっけ。以前読んだけど忘れてしまった)。そして、のちにゴダールの二番目の奥さんとなる女優の初々しいデビュー作?

しかし、あくまで主演はバルタザールというロバ。彼の物語です。あちこちに売られ、過酷な労働を強いられ、殴られ蹴られ、あらゆる虐げを受け、、、思わず漏れる叫びは、人間のものかと。プワーン。
唯一、優しく撫でてくれる、仲のいい女の子も、悪徳にそまっていき素通り。そして、いなくなってしまう。
最後は放牧中の羊の群れに囲まれ息絶えてしまうバルタザール。

あー、バルタザールよ、バルタザール。汝はクリストか。この世の受難を一手に引き受け、迷える小羊たちが見守る中、天に召されたバルタザールよ。
人生ってなんだろう? 辛いよね、苦しいよね。でも、生きなきゃイケないんだよね。
誰か僕を撫でておくれ。その白魚のような優しき手で、そっとそっと撫でておくれ。
月は微笑み、そのおぼろげな光が二人を優しく包んでくれる、、、ブワーン。