店主は気まま、客は我がまま。そんな気楽な銀座のBAR。でも、それでいいんじゃないの?

ピクニックatハンギング・ロック

本日は渋谷のBunkamuraル・シネマで、オーストラリア映画『ピクニック at ハンギング・ロック』(75) の4Kレストア版と、の前に神保町シアターで引き続き開催されています、旧き良き、そして失われた東京の風景を捉えた映画特集のうち、昭和10年の成瀬巳喜男監督作品『乙女ごころ三人姉妹』(35) を観賞です。

『ピクニック at ハンギング・ロック』

女学校、それは禁断の花園。
秘められた温室の美は、
規律、儀礼、西欧の抑圧から解放され。

オーストラリアの赤茶けた自然に解き放たれた、さらなる美しさを見よ。
手袋、ブーツ、ストッキング。自らを覆う、全てをかなぐり捨て。

目指す岩山、男の象徴、憑かれたごとく。
いずれは天使か、白鳥か、その行方今だ知れず、、、

と、この現代的なものとオーストラリアの自然との対比と云えば、ニコラス・ローグ監督の『ウォーク・アバウト』(71) を思い出しまして。

ローグの映像は本当に美しいのですが、このピクニックも、本当に美しい、ついでに主演の女の子達も、それはそれは。

事件は未解決のまま終わるのですが、このモヤーとした感じが、セントバレンタインの頃の、真夏の(南半球だからね)全てが気だるい昼下がりを、今一度思い起こさせるのでありました。

『乙女ごころ三人姉妹』

昔の浅草よ。

浅草寺、仲見世、大川、そして松屋まで。
その昼の明るい賑わいが一転、ネオンの、酒場の、その灯りの陰に物憂く響く三味線の音よ。

成瀬監督の、憎いまでの細かい演出は、日本の美を、情緒を、今一度思い起こさせ。

あー、当時の誰が、外国人観光客でごった返す、Tシャツの、短パンの、そんな姿を想像したことか。

観光客しかいない街など、所詮は蜃気楼の如く、近づき触れようとも只消え行くのみ。